雪男は向こうからやって来た/角幡唯介著

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雪男は向こうからやって来た

「雪男は向こうからやって来た」
角幡唯介(かくはたゆうすけ/1976年生/元ジャーナリスト)
2011年8月31日 集英社より単行本初版¥1,600+税

 「雪男に直接遭遇した」というタイトルを目にし、「UFO」だとか「Big Foot」だとか、そういう類のものを信じたことのない私としては、このタイトルが発する稀有の遭遇体験を信頼し、読んでみる気になった。ちなみに、「雪男」は別名「イエティ」という呼称で喧伝されてもいる。

 単行本だから結構厚く、ページをめくってもめくっても、過去にこの地(エヴェレスト付近)で発見した足跡(とはいってもボケた写真)や遠方から点としか見えない人とも猿とも分別しにくい姿の写真の話が延々と続き、著者自身の経験談はトータル340ページのうち284ページに至って漸く、それらしい筆運びになった。

 「いよいよこれからイエティと真正面からぶつかるんだな」と胸を高鳴らせて読み進むうち、あれっと思ったとき、本書は終わっていた。

 内容的に多少関心を惹かれたのは、かつてフィリピンのルバング島で元日本兵だった小野田氏を日本に連れかえった鈴木という男がやはり「雪男」にとり憑かれて同じ地域を踏査しながら、結局この地で死を遂げたが、鈴木の残したもののなかに作者の胸を撃つものがあったということくらい。

 はっきりいって、この本はほとんど詐欺といっていいくらいのもので、集英社という出版社の経営の質を見た気がした。「くそったれ!、時間を返せ」というのが本音。


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