麻雀放浪記(三) 激闘篇/阿佐田哲也著

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majanhourouki

「麻雀放浪記(三)激闘篇」
 阿佐田哲也(1929-1988)著
 文春文庫 2007年11月初版

 

 社会情勢の変化し始めた時代が背景。一匹狼のプロ雀士がいかさまやったり、他の雀士と組んだりして、雀卓を囲み、なにがなんでも勝ちをおさめ、メシを食っていく時代から、企業に勤務する人たちが増え、雀荘には仲間うちでしか来ないし、知らない雀士とは牌を打たない時代へと変容していく過程。

 (二)の風雲篇で、大阪から一緒に帰京したドテ子が全く登場してこないことに怪訝な思いが残る。

 読んでいて、面白いとは思うが、理解しがたい言葉も氾濫している。「喧嘩」を「ごろ」といい、「喧嘩をする」ことを「ごろをまく」と言ったり、サラ金から借りる金を「鳥金」と言ったりするが、昔「給料」のことを「鳥目」(ちょうもく)とは言った。「ハイなし」は「一文無し」で、「立ち親」は「ついてる親」との意味だそうだが、チンチロリンで「ガミを食う」はどうやら「損回り」との意味らしく、「カキ目」とは「総どり」を意味するという。

 解らない言葉が出てくる都度、立ち止まってしまうのがこの種の専門用語で、当時の雀士たちにとっては常識的な言葉であって、彼らはこぞってこの作家の「放浪記」を読んだことだろう。

 解説の小沢昭一さんによれば、「阿佐田さんは麻雀の神様」と呼ばれていたという。

 主人公がプロ雀士に徹して生きている姿がいっそ清々しい。


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