17音の青春-2010/学校法人神奈川大学広報委員会編

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「17音の青春ー2010」  学校法人神奈川大学広報委員会編
副題:五七五で綴る高校生のメッセージ
帯広告:神奈川大学全国高校生俳句大賞ー2010
2010年3月20日 学研より新書初版 ¥700+税

 

 本書は俳句の世界では名のある以下の俳人によって選考された。とはいえ、私個人はこれらの俳人の句は一句として知らない。金子兜太のもってまわった、解りにくい、一人よがりの俳句に過去うんざりした記憶はあるが、その感想は私の趣向や趣味と相容れないというのではなく、レベルが違い過ぎるということで了解を願う。

 1)金子兜太、2)宇多喜代子、3)大串章、4)黛まどか、5)復本一郎

 本書で大賞を獲得した句がいきなり私の心にぐさりときた。以下がその句。(山本美星子さんという岩手県・水沢高等学校女子生徒)

  分度器のてっぺん猛暑が立っている

  鶏頭を切れば動脈ほどの赤

  汗に泥混じりて生命線太し

 女の子が作句した内容とは思えぬ力強さというべきか、腕力というべきか、選考委員のなかにはかなり繊細な俳人もいるにも拘わらず、気にせずに、重いハンマーを打ち下ろした感が爽快きわまりない。

 次に、私の心を鷲づかみにした俳句は愛媛県愛光高等学校の女性生徒、野村美月さんの作句。

  正統の王を名乗れよ雨蛙

  小春日やフラスコの首恐ろしき

  神無月標本の蝶燃やしけり

 最後に、愛媛県松山東高等学校の亀田大地さんの句。

  更衣(ころもがえ)内なる火口隠しをり

 その他、入選作からは:

  振り向いて首の角度に夏木立(北海道、函館高校・小笠原久恵さん)

  教科書に迷子の蟻を乗せてみる(愛知県、幸田高校・山本有香さん)

  

 さすがに最優秀句にはそれなりのインパクトがあり、よく選んでくれたなという気分がしきりに胸を去来した。これらの句にはそれぞれ余人の及ばぬ才能を感ずる。

 こうした企画に手を染めるところは学研ならではという印象があり、心温まる企画であると同時に、ぜひとも企画を継続させ、若い人に俳句を伝えていく、俳句を楽しむ心を育てる、そういう方向に向かって欲しい。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ