白骨/G.M.フォード著

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白骨

「白骨」 G.M.フォード(シアトル在住)著
訳者:三好基好  新潮社 文庫化初版2005年5月

 原作名は「A Blind eye」、あえて訳せば「見えない目」「盲目」、気取って訳せば「閉じられた目」ともでもなるのだろうが、本書の訳者が命名した「白骨」は本書の内容を損なうことのない命名であり、さすがに慧眼を窺わせる。

 裏表紙に「次の手が全く見えない至高のサスペンス」との評を見て、久しぶりにサスペンスを読む気になったのだが、考えてみれば、サスペンスと名のつく作品を書くプロで、先が見えるようにストーリーを書く作家はいない。

 いつもながら、アメリカ人作家の作品には記憶を混乱させるほどカタカナ文字の人物が大量に登場するため、読み手としてはしばしば混乱、混沌を余儀なくされ、こんがらかることがあるのは許容の範囲かも知れない。

 込み入った話をさらに込み入った話に創り上げ、先へ先へと読み進ませるカラクリを幾重にも用意する方式、もっといえば、読者に対し混迷を意図的にサービスしたという印象はある。ほどほどの面白さと、主人公二人のほどほどの関係と個性を愉しむ姿勢を堅持できれば、本作品はそれなりに成功しているし、面白いといえるだろう。

 いかにもアメリカを舞台とした物語ではあるが、アメリカという国の別の側面が見えてくるのは、お世辞抜きに、「知りたい」欲を満たしてくれもする。


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