砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

satougasino

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」  桜庭一樹(本書はデビュー作、2008年には直木賞受賞)著
2004年に富士見ミステリー文庫として上梓。
2007年3月に富士見書房より単行本として刊行。
2009年2月25日 角川書店より文庫化初版   ¥476+税

 タイトルの異常さに惹かれて入手におよんだのがきっかけだが、本作品に触れ得たことは幸運だったというのが私の結論。

 この作者には凡夫の遠く及ばない着想、展開が苦労なく浮かぶような才能の光を感ずるし、凡庸なサスペンスやミステリーを超えるきらめきを感ずる。

 基本的には、日本の現代社会の持つ最低の一断面を切り取った小説だが、13歳の少女を主人公にした小説としてはあまりに異色で、尋常な人間の理解の範疇には納まらない、時代の先端を捉え、若い層が交わす会話にも敏なものがあり、私自身とは「噛み合わない魅力」がある。

 尤も、そういう作者のキャラクターのもつ本質が、作品に一種の余韻を残し、読者の記憶に深々と刻印する力、魅力を備えていることは確か。

 願わくば、才能に溺れ、奇を衒いすぎず、力むことなく、持てるポテンシャリティををあるがままに伸ばし、従来にない小説を書き続けて欲しい。

 表現のなかに、「ひきこもりは現代の貴族」という発想があったが、唸らされた。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ