神様からひと言/萩原浩著

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「神様からひと言」  荻原浩(1956年生)著
光文社文庫  2005年3月 文庫化初版

 「低次元」「低レベル」「ドタバタ」「非現実的」といった言葉が脳裡をかすめるのを抑えながら読み続けたが、最後まで感想に変化を呼ぶようなことはなかった。

 ところが、「軽妙洒脱」にして「上質なユーモアに富む」というのが、出版社サイドのコマーシャル。解説者に至っては、賛辞と賞賛を贈りこそすれ、これをけなすなどという書評とは無縁の「褒めちぎる」挙に出ている。

 そのうえ、文庫化されて以来、2006年5月までに15刷目を迎えている事実は、この著者も著作も多くの読者の支持を得ていることを示して余りあるものがあり、私の「ユーモアも、デリカシーもない、マンガチックな物語」という書評とは真っ向から衝突する。

 「くだらない」に「超」の字をつけたくなったばかりか、「おちょくられている印象」しか持ち得なかった私の側に感性の欠陥と落ち度があるような気さえして、表紙の裏面にある「著者紹介」をなんど見直したことか。本書が、近々、民放テレビでドラマ化されるという仄聞には文字通り呆気にとられた。

 正直いって、私個人には理解を超える小説というしかないし、二度と手に触れる気もないが、現代日本社会の未知の部分、いずれかといえば低劣な部分に触れた思いは残った。


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