オーラの条件/林真理子著

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オーラの条件

「オーラの条件」  林真理子(1954年生)著
2004年12月から2005年11月まで週刊文春に掲載されたエッセイを単行本として2006年に発刊。
2009年3月10日、 文春で文庫化初版  ¥476+税

 残念ながら、私はこの作家の単行本や文庫本を入手して読んだことはないが、週刊誌ではしばしばお目にかかっていて、かつて本ブログに彼女のつくった擬態語「ルンルン」を秀逸だと評したことがある。

 若いとき、他との比較を絶した個性的で軽妙なユーモアのなかに逸脱あり、辛辣な批評があり、女心を軽いタッチで披瀝したものもありで、キャラに際立ったものが窺えたが、さすがに歳を重ねて、丸みを帯び、エッセイに中年臭が充ちてきているのは加齢のせいだろう。といって、往年の冴えたセンスをすべて失っているというわけではない。

 作者が2004年の流行語大賞に、水泳で金メダルを獲った北島選手の「超きもちいい」はおかしいとの見方を示し、社会への多面にわたる影響を忖度すれば、その年には「冬ソナ」こそがふさわしいとの意見には、私も全く同感。このドラマはNHK自体が想定した目論見をはるかに超えて全国に波及、韓国の観光産業にも多大な影響を与えただけでなく、韓国人と日本人の融和がスタートしたという点でも、このドラマの採用は破格の決断だった。北島選手を嫌いではないけれども、「超きもちいい」はあまり品のいい日本語ではない。

 彼女はホリエモンと対談したことがあるらしく、そのことがあるため、彼に対して好意的に見ており、この作品が終わるまでにはホリエモンが逮捕されることになるとは夢思っていなかったために、決着がついたときに、あらためて書かざるを得ない立場になるのではないかと思われる。ことに、本書のタイトルの「オーラ」が、ホリエモンと小泉元首相から感じたものであれば、一層その感は深い。

 また、デヴィ夫人と親交があるらしく、二人でスカルノ元大統領の故郷、バリ島を訪れたことがあるらしいが、バリ人の大半はスカルノを敬愛はしても、デヴィについては強い嫌悪感を持っていることを知っておいたほうがいい。

 バリ人に限らず、インドネシアの人々は、スカルノが大統領時代、日本の賠償金で建設するインフラを日本商社が権利を得たい一心で、二人の結婚にからみ、賄賂をふんだんに渡し、デヴィが商社から得た金も、スカルノから得た金も、スイスの銀行に送って預金していたことを知っていた。

 スカルノ失脚するや否や、デヴィと娘があっという間にインドネシアを出られたのも、そういう準備ができていたからだと思われるし、フランス、ニューヨーク、東京に豪邸を買い、豪勢で贅沢な生活を続けてきたこともインドネシア人は知っている。

 インドネシアでデヴィを歓迎するのはスカルノの娘たちの一部だけで、一般人からは総スカンというのが実情である。金に固執した結果、若い頃(クラブ勤めだった頃)の毒されていない美貌が今日見るような、まるでムジナといった下品な目つきに変貌してしまったのではないかと思っている。

 本書は数十編の短編エッセイが落語の小話のように寄せ集められ、テーマがその折々の社会時評にもなっていて、世の中のおじさん、おばさん方は、かつて、そのあたりを評価していたように思われる。

 作者が結婚したときも驚いたが、離婚もせず、夫婦を続けていることにも、私は驚いている。


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2 Responses to “オーラの条件/林真理子著”

  1. 関西より より:

    『彼女が結婚できた事は世の女性に勇気を与えた』と言ったら、うちの奥さんから「有名でお金を持つと容姿は関係なくなる」と言われ、なるほどと思った事がありました。

  2. withyuko より:

     Hustlerさん、私もこの本読みたかったのですが、こういう内容だったのですね。
     私は、林真理子ファンだったので、エッセイも小説もたくさん読んでいましたが、小説はともかく、エッセイは、著者が独身のころのほうが今より格段におもしろかった!です。最近はなぜか面白くなくなったので読まなくなりました。
     結婚もされていますが、お子さんもいらっしゃるのですよ。ただ、子供を産むとそれがすべて!みたいな作家になりたくないといってお子さんのことは一切書かれないので、その辺はすごく好きです。(たぶん読者に”負け犬”が多いから、気遣って?)
     

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