告白/湊かなえ著

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こくはく みなとかなえ

「告白」 湊かなえ(1973年広島生まれ)著
2009年本屋大賞第一位
帯広告:全国書店員が選んだ「いちばん売りたい本」
2007年8月~2008年3月まで「小説推理」に連載
¥1400+税
2008年8月10日 双葉社より単行本初版
2009年4月まで既に24版の重刷

 日本社会はいまニート、ひきこもり、いじめ、教師の質の低下、家庭の問題、モンスター両親、親子いじめ、犯罪、友情のあり方、友達関係の維持の歪み、機械文明がもたらした利器を含め、教育現場を中心とする、醜い恥部が連日のように、報道され、半世紀前の日本とはまるで異国を感ずるほどの落差がある。

 本書はありとあらゆる、こうした現代社会がもつ醜悪な側面、恥部を遠慮会釈なくえぐり、とくに教育の現場に関してはあらいざらいさらけ出した書というだけでなく、起承転結にも展開にも新たな工夫が凝らされ、これまでに例のない文学へのアプローチが窺える。

 その意味では、2009年4月6日に同じ作者の「少女」を書評したときに斬新なものを感じていたが、大きく羽ばたいているといった印象を本書からは感ずる。

 全国書店の店員が必ずしも読書が趣味というわけではないだろうが、ここは素直に受け取って、彼らがいま「一押し」という本書に触れ得たことに感謝するとともに、作者が今後どのように新境地を拓いていくか、興味は尽きない。


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