デミアン/ヘルマン・ヘッセ著

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デミアン
「デミアン」
ヘルマン・ヘッセ (1877-1962、ドイツ人)著
高橋健二 (1902-1998)訳  新潮文庫
1919年 ドイツにて初版
1951年11月 新潮社文庫化初出

 
 詩人として知られるドイツの作家、ヘルマン・ヘッセの作品を手にするのは初体験。

 内容は、一人の少年がキリスト教色の強い西欧社会において成長していく過程を描いたものだが、ニーチェ、ゲーテ、ユング、カントなどを生んだ同じドイツ人だけに、その思惟、思念、推敲には深いものがあり、文章には癖が強い。

 ドイツ哲学者に共通する、何物かに立ち向かって、本質を凝視し、洞察しようとする姿勢はヘッセにもあって、私自身、学生時代に苦労してニーチェの「ツァラストラ」を二度読んだことを思い出した。

 本書はドイツが第一次大戦に突入していった時代という意味でも、一つのエポック・メイキング(画期的)な社会背景が存在し、青春時代をそのような時に過ごした作者にとっては、過渡期を表現した作品になっているように思われる。

 1919年に書かれた作品だけに、現在の和訳はそれなりに現代日本語になっているものの、それでも、かなり読みにくい面のあることは否定しがたい。1951年の初版以来、99版を重ねているが、読み継ぐ日本人がこの国に存在する事実に驚嘆する。


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