ネッシーに学ぶ生態系/花里孝幸著

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ネッシーに学ぶ生態系

「ネッシーに学ぶ生態系」
花里孝幸(1957年生/陸水生態学、生態毒性学専攻)著
岩波書店  2008年3月初版

 「世界で最も長寿の湖はシベリアのバイカル湖で、3000万年といわれる」

 「湖は南半球より北半球に多く、カナダ、シベリア、ヨーロッパ北部に集中しているが、原因は氷河で、ネス湖も同じく氷河が溶けてできた湖であり、約7000年前に誕生した。恐竜時代から6500万年前、ネッシーが実在するとしたら、ネス湖が誕生するまでに6499万年以上の時間を海のなかで生き延びたことになる」。

 「恐竜はシーラカンスのように鰓(えら)で呼吸することができず、爬虫類である限りは肺呼吸する以上、浅海に棲み、当然ながら競争者も多く、生き延びるチャンスは稀有に近い。たとえ、生き延びたにせよ、ネス湖は海に繋がってはいず、どうやってネス湖にたどり着いたのかも想像を超えている」。

 「あり得るとすれば、氷河期の終わりに海面が上昇し、ネス湖まで10キロを泳いで渡った可能性はあるが、これを検証することは至難の業」。

 「さらに、ネス湖には食物連鎖のスタートとなる植物プランクトンが少ないことが報告されている。そうなると、それを食べる動物プランクトンも少なく、魚も僅かであり、ネッシーのような大型動物が摂餌する量が完全に不足していて、生きられる条件が満たされていない」

 「また、7000年間、近交弱勢(近親交配を長く続けた結果、生活能力は衰える)という問題がある」

 「ネス湖に生息する魚類はサケ、ブラウントラウト、ウナギ、チカー(イワナ)、ランプレイ(スナセツメの一種)、トゲウオで、この中で、サケ、ブラウントラウト、ウナギは魚を食べて生きるからネッシーにとっては競合する」

 「以上の条件からネッシーが生存している可能性は否定される。日本の北海道の屈斜路湖のクッシーも、鹿児島県の池田湖のイッシーも、いずれの湖も植物プランクトン栄養の乏しい湖水であり、モンスターが生存する条件からは遠い」

 以上は第一章の「ネッシーはいるのか」という、全210ページ中、わずかに最初の40ページほどの内容で、ネッシーをテーマとする話はこの章で終わっており、あとは「アオコ」というやっかいな植物プランクトンに関する解説が延々と続き、「ここで考えよう」「ここで考えてみよう」が連発され、まるで講義を聴講する学生になった気分に陥り、しかも、説明がしつこく長々と解説が継続し、結論がいつまで経っても明らかにされず、私は半分ほど読んだところで、疲労困憊、飽き飽きしてしまった。


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