キスよりもせつなく/唯川恵著

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キスよりも切なく

「キスよりもせつなく」 唯川恵著 集英社文庫

 著者36歳時、(15年前)に書かれた恋愛物語で、当時の男女関係、恋愛感覚、若者の生態がよく表現されているが、あくまで若年層向きの小説。文章もしっかりしていて、ひっかかるところがなく、スムーズに読めるが、内容的にはやや平凡。

 この物語に特徴的な日本人の詮索好きで、噂好きなキャラ、他人のプライバシーに踏み込む姿勢は、この国の人に特有というべきか、そのあたり、もし翻訳したら、西欧の人には理解されないだけでなく、忌避される可能性が高い。

 はっきりものをいう女が「わたしって、言葉をオブラートするとか、言い回しを考えるとか、そういう能力まったくないのよね」などという言葉は男性の作家からはあまり出てこない。女性作家ならではの言葉使いが頻発している部分からは、その意味で学ぶことがあった。ただ、「はっきりものを言う」ことと「ぺらぺらと要らぬことまでしゃべる」こととは全く違うこと、場合によっては、軽蔑されかねないことは心得ておいたほうがいい。


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