宇宙への秘密の鍵/ホーキング父娘共著

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うちゅうへのひみつのかぎ

「宇宙への秘密の鍵」  スティーブン・ホーキング/ルーシー・ホーキング共著
原題:George’s Secret Key to the Universe
岩崎書店より単行本  2008年2月初版

 ルーシーはホーキングの娘、ロンドン市民大学、オックスフォード大学卒の児童向けの作家、子供向けの科学的真実に基づいた著作を父の協力を得てアドベンチャー物語として書きたかったという。ホーキングは言わずと知れたイギリスの理論物理学者、ケンブリッジ大学のルーカス記念講座教授。身体障害者でありながら、アインシュタインに次ぐ最も優れた宇宙物理学者との評価を得ている逸材。

 本書は読者対象を少年少女に絞って書かれ、当然ながらストーリー展開は子共向きに徹底して物理学を優しく解説したものであり、宇宙に関心の深い大人には面白くはない。私はストーリーは追わず、一切無視して、ページのところどころに書かれたエキスだけを読んだ。

 ただ、宇宙物理学の基本を再確認する上では、それなりに役立つため、本ブログでは、基本的な理解を深める目的で以下、ポイントを列挙する。

1.宇宙の平均温度はマイナス270℃。地球表面の平均気温は15℃だが、歴史上記録された最低温度は1983年に南極のヴォストークで観測されたマイナス89℃、逆に地上での最高気温は1922年、リビアのアルアジジゼの58℃。一方、太陽の表面温度は5,600℃、太陽の中心部気温は1,500万℃。

2.惑星の条件:(1)恒星の周囲の軌道を回る(2)球形を保つだけのサイズと重力をもつ(3)軌道上に他の天体が存在しない。2006年8月に冥王星が惑星から外され、「準惑星」とされたのは、上記(3)の条件を満たしていないため。火星と木星の間にも「セルス」と呼ばれる準惑星が存在する。

3.太陽系惑星以外で、今日までに発見された惑星は240個以上だが、いずれも地球より大きく、木星のサイズを上回っている。2007年にコローという人工衛星が発見した「グリーズ581C」と呼ばれる惑星には生命が宿る可能性があるとされている。

4.アインシュタインの「E=mc2」という式はEはエネルギー、mは質量、cは光の速度を示している。質量とエネルギーは空間をゆがめることも発見されていて、空間のゆがみから生じる力が重力。

5.彗星は太陽の周囲を回っている大きな汚れた雪の玉。球体をなしていず、太陽が生まれる以前に爆発した星のなかで造られた元素でできている。はるかな遠距離にある彗星は1,000個以上あるが、太陽に近づくことで光りはじめ、地球上から見ることが可能になる。これまで観測された最大の彗星は中心核の端から端まで32キロメートル。

6.ハレー彗星は太陽の重力に引き寄せられるタイプで、溶けてしまうか、惑星に衝突するまで76年に1度の割合で周回し、地球上からは光っている尻尾が確認できる。

 (ニュートンの遺した言葉のなかに、彗星の一つが2020年に地球に衝突するとの予言がある)。

7.百武(ひゃくたけ)彗星は11万年に1回しか太陽に近づかない。

8.スワン彗星は一度しか太陽に接近したことがなく、宇宙の「さすらい彗星」といわれ、数十万年の時間をかけて宇宙を彷徨している。

9.土星は水星、金星、地球、火星の4つを全部合体させたサイズの4.5倍。

10.惑星がもっている衛星の数:水星、金星ともにゼロ、地球1個、火星2個、木星63個、土星59個、天王星27個、海王星13個。

11.太陽に最も近い水星から太陽までの距離は平均5,790万キロ。太陽から最も遠距離にある海王星は平均45億キロ。

12.土星のもつ衛星59個のうち、タイタンは唯一大気に覆われている。タイタンは月のおよそ3倍の体積。最近のNASAの観測によると、衛星のエンケラドスにも大気があると報告されている。

13.木星は太陽系最大の惑星。大きな赤斑(地球が2個すっぽり入ってしまうサイズ)があるが、巨大な嵐が吹き荒れる大気の渦であり、風速は時速1,000キロといわれる。木星が太陽を周回する時間は1回に11.86年かかる。木星の63個の衛星のうち、4つは1610年にガリレオ・ガリレーが発見したもので、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。木星と火星の間には小惑星が帯状にかたまっていて、これを小惑星群と呼ぶ。トータル数百万個存在するといわれ、毎日新たに5,000個が発見され、直系は10センチレベルのものから数百キロのものまで様々。正式ナンバーが与えられているものは164,612個。

 (木星はサイズが大きく、重力、質量ともに惑星中最大であり、そのため、宇宙からの隕石などの衝突を受けやすく、内側に存在する惑星(地球を含む)に衝突する割合を減少させている)。

14.地球の大気は35億年前に出来上がった(地球が誕生して10億年後)。現在の大気は窒素78%、酸素21%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.04%、さらにヘリウム、ネオン、メタン、クリプトン、水素などが混じっている。

15.35億年前の地球には酸素が含まれていず、ほとんどが窒素、水素、二酸化炭素、メタンだった。火山が爆発を頻繁に起こしたおかげで水蒸気が発生、二酸化炭素、アンモニア、硫化水素が大気に放出された。

16.1950年代、科学者たちは大気の化学成分を推測し、推測した化学成分に稲妻に似た電気の火花を反応させてみたところ、有機化合物が生成されることを発見。炭素原子を基本骨格のなかにもつ成分であるアミの酸のような分子は生命にとって必要不可欠。

17.火星の直径は6792キロメートル、表面積は地球の28.4%、体積は地球の15.1%、質量は地球の10.7%、重力は地球の37.6%。火星の大気は薄く、ほとんどが二酸化炭素。平均気温はマイナス60℃だが、全惑星の中で際立っているのはオリンポス火山で、幅648キロメートル、高さ24キロメートル(2万4千メートル)で円盤状を呈している。

18.ブラックホールは燃料を使い果たした星の超新星爆発によって、外側の層はガスに乗って大きく広がり、中心部は内側に向かって押される。太陽以上のサイズでなければ、ブラックホールにはならない。ブラックホール同士がぶつかると、さらに成長し、近すぎるものは何でも呑みこんでしまう。天の川にも太陽の数億倍サイズのブラックホールが存在する。目には見えないが、ほかの物体を引き込むのを見て、その存在が判る。

19.ブラックホールは「ホーキング放射」により、次第に何十億年、何百億年をかけ、やがて消滅する。

20.恒星の死後、太陽の1.4-2.1倍のサイズの巨大な核が残された場合、みずからの重力で縮み、直径十数キロとなってしまう。こうした球体の内側の圧力は強く、中は液体となり、約1.6キロの地殻で覆われ、中性子星ができあがる。太陽より2.1倍以上のサイズの恒星はどんどん縮んで、ブラックホールとなる。

21.太陽と同じサイズの恒星なら、超新星爆発を起こさず、赤色巨星になる。これはみずからの重力で縮む力がないからで、寿命を終えるとき「白色矮星」となり、天体に残されるが、数十億年かかって冷えていく。

22.ホーキング曰く「地球は小さくて、急速に汚染され、人口過密が進む。宇宙に出かけていかなくては、人類に明日はない」。(人類には地球の自然環境を良化させる知恵がないことを示唆している)。

 宇宙に関するブログへの書き込みは、本書で16冊目になる。


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