無情の世界/阿部和重著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

無常の世界

「無情の世界」  阿部和重(1968年生)著
1999年、講談社より単行本初出
2003年3月新潮社より文庫化初版

 本書には三つの短編「トライアングルズ」「無情の世界」「みなごろし」が収容されているが、どの短編にも文学作品らしい香りが欠け、アメリカ的CG映画の世界に連れ込まれたような気分に陥る。

 会話の連鎖がしつこく、説明が過多で、とくに「トライアングルズ」からは英語から日本語に翻訳したような印象があり、日本人が書いた作品という印象が希薄。

 発想、視点、視座に奇抜でユニークなものは感ずるものの、何が面白いのか理解できず、日本社会での出来事をストーリーにしていながら、殺伐としたアメリカ社会のもつ非情さばかりが著しく脳裡に浮かぶばかりで、感動的なものを覚えることはなかった。

 こうした作品を書く著者に数々の賞が与えられた事実に関して、一体誰がどういう見方、考え方で選択しているのか、不可解の一語。

 阿部フアンの方には申し訳ない書評になったが、正直な感想。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ