空へ/ジョン・クラカワー著

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空へ

「空へ」 原題: Into Thin Air
ジョン・クラカワー(Jon Krakauer/アメリカ人)著
文春文庫  海澤正彦訳

 
 登山史上、最大の惨事を描いたノンフィクション。

 世界最高峰への登山がガイド付きのパケージツアーになっている実態、トラベル・エイジェントが介在する事実にまず驚く。(この当時、一人料金約百万円)

 著者はジャーナリストでクライマー、たまたまこのツアーに参加、惨事を目の当たりにする。12人(日本人女性を含む)が死に至った経緯が壮大な景観を舞台に克明に描かれる。

 時間をかけて薄い空気に慣れていく順化の過程、いったん牙を剥いた自然の厳しさ、酸欠に陥りながら黙々と歩く参加者、力尽きて次々に倒れていく登山者。
 原題の「Into Thin Air」(薄い空気のなかへ)が実感をもって納得されるだろうし、同時に、「鳥はどうしてヒマラヤの上空を酸素ボンベなしに飛べるのか」と不思議に思うだろう。人間と鳥は肺の構造が違うらしい。

 登山を趣味とする人にはもちろん、趣味としない人にもぜひ一読を進めたい。


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