日本と世界は同時に崩壊する!/浅井隆&ラビ・バトラ著

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「日本と世界は同時に崩壊する」
浅井隆/ラビ・バトラ(Ravi Batra)共著
副題:資本主義はおいしい果実を食べすぎた
2006年6月初版 あ・うん出版 単行本

 タイトルは威嚇的。

 「ピーク・オイル・パニック」を読んだ直後だっただけに、内容に信憑性と同時に焦燥を感じた。

 資本主義は富の偏在を促す社会であり、政治も経済も富者に有利に展開する。政治家、官僚から倫理観を奪い、資本主義が本来的にもつ搾取的、略奪的な性格、色彩を一層強め、富者との癒着は避けられず、かつ断ち切れない。こうした資本主義社会のもつ欠陥がいずれ露呈され、崩壊への道に突き落とす。

 日本は地方自治体を含めGDPの2倍、1000兆円以上の債務を負っている。こんな国は日本以外にはなく、いまや国債の格付けは人口わずか170万人のボツワナ(アフリカ)より低い。

 アメリカも3兆ドルの対外債務を負っている。カナダ、オーストラリア、EUなど先進諸国も債務国。

 一方で、アメリカへの輸出に多くを依存している国がある。中国をはじめ、日本もそうした国に入る。アメリカがこければ、一緒にこけてしまう国は僅かな数ではないだろう。

 アメリカの株価がとりあえず堅調に推移しているのは、カリフォルニア、ネヴァダ、フロリダを中心に地価が高騰、住宅バブルが継続している点にあり、このバブルがはじければ、株価は下落、消費は落ち込む。アメリカへの輸出依存の高い国には激震が走るし、株価も同時に滑落する。ドル安だけで事は収拾がつかず、元にも円にも波及するだろう。

 さらに、2030年には80億に達するであろうといわれる人口の増大。当然ながら、食料、エネルギーの不足状態を招く。世界に分業化が進んで、たとえば、日本は輸入に頼らなければ国民に充分な食料を供給できない。世界的な人口爆発が起これば、自国で自国民の食料供給のできない国の民は飢餓に苦しむことは避けられない。

 こうして、世界恐慌が起こり、資本主義が崩壊、世界中が混迷する。日本は国家破産を免れない。結果、円安、株安、債券安、資産の海外流出、ハイパーインフレが起こる。国家破産は不可避、表面化するのは2010年までのあいだ。夕張市の破産は前兆。新しい社会体制が創造されるまで20年はかかる。

 資産をいかに保全するか?

1.資産を複数の外貨へ分散。

2.信用度の高いブランド印のゴールド・インゴットの入手。

 ロシアが政治が転覆したとき、アルゼンチンが猛烈なインフレに襲われたとき、ゴールドはなんの役にも立たなかった。なぜなら、それは金メッキした鉛だったから。日本が金の輸入国であるため、円安では金が高騰する。

(この国で現物で売買されているインゴットには信頼のおけるブランド名が印刻されているし、メッキされたインゴットなど存在しない。また、円安がゴールドを安価にするというが、現実には為替レート並行起伏はしていない。アメリカでゴールドが高騰したほどには高くなっていない)。

3.海外移住(治安が良く、銀行利子が高く、物価が安い国)。たとえば、ニュージーランド。

 本書は「ピーク・オイル・パニック」に比べ、読みやすく、解りやすい。その反面、やや安直で、思考に偏りが感じられ、非現実的な部分もあるように思われる。とはいえ、一読に値する。

 また、世界が向かっている方向、あちこちで脱化石燃料への取り組みを行っていながら、資本主義は究極的には破綻をするという言葉はしっかり受けて止めておく。また、食料危機を予測する以上、食料素材の自給自足率の向上を国として目標としておくのは、ほとんど常識に思えるが、日本の政治家にはそのようなことを声高に主唱する人はまだ見たことも聞いたこともない。この国の政治家、国民の甘さだけが顕著。


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