ホントに強いぞ、自衛隊!/加藤健二郎&古是三春著

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本当に強いぞ、自衛隊

「ホントに強いぞ、自衛隊!」 副題:中国軍のアキレス腱
著者:(1)加藤健ニ郎/1961年生、軍事ジャーナリスト、防衛庁オピニオンリーダー)
(2)古是三春/1960年生、軍事技術史&戦史研究家、共産圏の軍事に詳しい)
2010年4月30日 徳間書店より単行本初版 ¥524+税

 「中国の軍人が今や224万人と世界一の規模を誇り、兵器に関しても米軍にすら劣らぬ新型兵器を持っていることは事実ながら、中国の軍人は現段階でかれらが日本の自衛隊に勝てないことを認識している」という。

 本書の要点を拾って記すと:

*中国が軍隊の規模を大きくした基本的な意図はまず第一に国内の少数民族の反乱に備え、第二に北朝鮮との国境に沿ったあたりへの武力挑発に備えるためでかり、強大な軍隊を保持する目的は他国への威嚇的イメージづくりであって、武力行使そのものではない。つまり、共産党一党支配の現政権を維持することに最大の目的があり、外国とことを構えることにはない。

*中国軍は確かに海軍にしろ、空軍にしろ、陸軍にしろ、一定レベルを超えた新兵器を所持しているのは事実だが、全軍にいきわたっているわけではないこと、新兵器をそれぞれの兵器の目的に沿ってあたりまえに操作できる軍人が少ないこと、軍人が多すぎることはそれぞれに実弾を使った訓練を施すにはコストがかかりすぎること、一人っ子政策時に生まれた男子が入隊する時代になっているが、「小皇帝」と呼ばれ過保護に育てられたため根性がなく兵士として使いものにならないことなどなどが指摘されている。

 (日本男子は徴兵制度がないため、男が男として磨かれる機会に恵まれず、ために草食系に陥っている)。

*軍人の数が多いことは定年後の恩給の総額が膨大な額になることを示唆し、ために実弾や実際の爆弾投下などの訓練を控えめにすることでコストの軽減を図っている。稀に爆弾投下の練習をさせたところ、爆撃機ごと墜落してしまった例もある。

*最近では経済の近代化の促進により、燃料が経済界に回されるケースが増え、エネルギーは各部隊間で分捕り合戦になっている。

*もし、沖縄から米軍が撤収し、かつ中国が日本に対し軍事的野心をもつと仮定したら、かれらはまず軍事に使える空港のある沖縄本島への侵入、上陸を狙うであろう。しかし、たとえ上陸に成功したにせよ、自衛隊がその後に必要な補給を断つのは簡単なことで、上陸した中国軍は飢餓、枯渇する。中国での教育はかつての日本軍人の苛烈な言動を中心に据えているから、その教育が逆効果となって、現在の日本人にもそういう過酷な厳しさがあるかのような錯覚をもってしまう可能性すらある。

(現在の日本人男性の大半が腑抜けであることくらい、中国のトップは知っているのではないか)。

*日本はロボット大国でもあり、必要とあらば、無人攻撃機などすぐ製造できる。

(中国空軍はすでにステルス型偵察機を開発している)。

*装備システムは今後ともコンピューター化は避けられず、対応には若い頭脳を必要とするため、今後の自衛隊のあり方には一考を要する。

 現状がどうあれ、将来にわたって著者が本書で披瀝した読みがそのまま生きるか否かは不分明というしかない。少なくとも、現在、軍事に投資する金は日本より中国のほうに余裕がある。

 正直に読後感を記すが、このような軍事的なあれこれに21世紀になっても、「ああだ」「こうだ」と突っつきあっている図は人類のアホさ加減を表すもの以外のなにものでもない。むろん、そういう本を入手して必死に読む私自身がそういう救い難い人類の一人ではある。あらためて思う、「嗚呼、人類はなんと救い難い生物か」と。

 同じ人類を殺傷する兵器づくりに奔走し、それに膨大なコストをかけ、一方で老人が孤独死して白骨となっている現状、自分の幼い子を育児放棄して殺してしまう母親、自分の母親や父親がどこにいるのかわからないなどというフヤけた神経、そんな人類の生きていることに意味なんかあるのか?

 人類は地球上に現れた生物の種のうち、最も短命で絶滅するのかも知れない。


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