骨董掘り出し人生/中島誠之助著

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骨董掘り出し人生

「骨董掘り出し人生」 中島誠之助(1938年、東京生まれ)著
2007年11月 朝日新書初版

 骨董は私も好きだから、TVの「開運・なんでも鑑定団」はよく見るし、バリ島に駐在中はジャワ島に出かけるたびに、インドネシアの骨董、ことに宗主国であったオランダの遺したアンティークを探したこともあり、メリハリの効いた作者の発言に好意を持っていたこともあって、本書を手にした。

 作者の語る幼児の頃からの苦労話に、骨董よりも、生物学、海洋学に興味が深かったこと、遠洋漁業船に乗せてもらったこともあるとの話があり、骨董の世界では一般的な他店での小僧修業の経験のないことを知り、驚いた。

 「日本人の美意識の本質とは、静と動、明と暗、侘びと華麗といった両極端の意識が陰影となって混ざり合い、曖昧で混沌としたものが一つの形、姿として出来上がった。同じことは俳句にも盆栽にも言える」との言葉には納得がいくし、おそらく日本の名のある庭園にも演繹できるのではないかと思われる。

 「贋作を掴まされるのは当人の欲ボケにある」との言葉には、自分の経験を通して、唸らされた。

 作者は「骨董品の金銭的な価値よりも、品物のもつ歴史、品物にかかわった人間味に想いをいたすことが好きで、この世界にのめり込んだ」という。「時代の経過とは無関係に、骨董品の価値は不変」との言葉にも異論はない。

 最後に、「人生は経験と知識と感性こそが財産。それらを磨き、生かすことに人生の意味がある」と、70年の人生を通して学んだことを書いている。


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