愛情生活/荒木陽子著

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愛情生活

「愛情生活」 荒木陽子(1947-1990)著
1985年、白夜書房から上梓
1997年9月、作品社より単行本で再版、¥1800

 本書の作者の夫は、写真撮影で名の高い荒木経惟(天才ともいわれる)であり、作者自身は42歳という若さで逝去している。

 夫が破天荒な人だったこともあるだろうが、夫婦生活のプライバシーを、たとえばセックスしながら撮影したり、あらぬ格好を要求されたりする、そういう状態に作者としては愉悦を覚えると、羞恥心のかけらもなく書いてしまう度胸と、そのハチャメチャぶりに、圧倒される。

 大半はアルコールと豪奢なメニューの食事という話が占めていて、次第に鼻につくけれども、作者独特の表現と、自身のプライベートな部分を惜しげもなく露わにする、平均的な人間には到底できないことをあっけらかんと描く姿勢に魅せられて、結局は最後まで読まされてしまった。

 独特な表現の例を挙げれば、「華やかなパーティに嘘くさいシケタ現実でしかない感じがある。ズルズルした感触を楽しんでいるのが、私は好きだ」とか、「食欲と排泄とセックスと死が渾然一体となって、エロスという腐肉の匂いを漂わせている映画の画面に、魅了されてしまい、三度も見てしまった」など。

 この夫妻は子づくりをせず、作者が42歳で子宮肉腫で亡くなるまで、男と女の関係でいたという。夫である荒木経惟の作品も読んでみたくなった。


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