ネアンデルタール人類のなぞ/奈良貴史著

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ねあんでるたーるじん

「ネアンデルタール人類のなぞ」 奈良貴史著
2003年10月22日岩波書店より初版
岩波ジュニア新書

 最近NHKのテレビでもネアンデルタール人のことが放映されたが、絶滅した謎についてわりと学術的なアングルから書かれている。

 現代人との差異について詳細に触れているなかで、NHKで指摘された「気道の長さ」の違いについて触れられていないのが残念。気道は声を出すための決定的な優劣を招来し、それゆえに言語の発声が豊かになるための鍵だった。言語の誕生は会話を可能にし、情報の伝達と累積とを可能にするばかりか、語彙そのものを増やすことにも結果し、言語の文法をも醸成する。また、共同生活による同じ目的をもった生産活動も可能になる。

 その事実、というより、その差が、ネアンデルタール人とクロマニョン人との将来に決定的なものとなった。

 また、ネアンデルタール人の人骨遺跡には閉経した年齢の女性のものは見つかっていないという事実から、寿命は決して長くはなかったであろうという推測がなされている。ために、娘に対して、出産や育児に関する助言者となるべき祖母が不在、その事実が人口の増に寄与せず、絶滅していった過程が想像される。


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