折れない心/野村忠宏著

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おれないこころ

「折れない心」  野村忠宏(1974年生/柔道家)著
帯広告:日本の勇気の書、なぜ彼は闘い続けられるのか?
2010年2月1日 学研より新書初版 ¥740+税

 野村といえば、60キロ級の柔道界にあってその人ありと知られる天才柔道家であり、アトランタ、シドニー、アテネと三連覇した偉業は他の追随を許さない。

 かねてから「すごい男だ」と思っていたこともあり、迷わずに入手したものの、冒頭からしばらくは「のだ」の多い強調に力みばかりが先走って辟易。

 さらに、四連覇を狙った北京オリンピックの直前に膝靭帯を痛めながら、試合に挑んだものの惨敗という結果に陥ったが、北京への一里塚を書くにあたっては「言い訳」ばかりが連綿と続き、スポーツマンらしい潔さが感じられず、読書の継続に嫌気がさしてきた。

 さいごはロンドンを最後の場に想定し、その日に向かって、あと3年、調整、練習を続け、身体を鍛えてゆこうという野村自身の意気込みが書かれている。

 本来、こうした本は三連覇がなしとげられて直後か、ロンドンが終わってから上梓すべきものであって、北京での失敗のあとに上梓したことには本人より出版社側の都合、つまり、ロンドンで負けた場合、その後で上梓するのなら現在上梓したほうが販売に寄与するとのビジネス感覚があったのではないか。ために、読み手としては中途半端ではっきりしない靄のなかを歩かされる気分に陥る。

 なかで記憶に残ったのは、山下は28歳で引退、古賀は33歳で引退、井上康正は30歳で引退したのに比べ、野村は現在35歳だから、ロンドンオリンピックを迎える年には38歳になっていること。

 さらに、「柔道で最も大切なのは瞬間的に力を抜く脱力の極意」は、野村ならではの、天才肌の柔術から編み出されたものだろう。また、かつて、不敗を誇った山下は203連勝、途中に引き分け7試合をふくむとあったが、あらためて大した記録であることを認識した。


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