毛沢東の私生活/李志綏著

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もうたくとうのしせいかつ

「毛沢東の私生活」上下巻 
李志綏(リ・シスイ/中華系アメリカ人)著
新庄哲夫訳 文春文庫

 中国を訪れるたびに、あのむかむかするような写真があちこちに飾ってあった。最近は行かないから、いまどうなのかは知らないが、私はこの人の顔が嫌いだった。
 
 本書を手にしたのは「のぞき見趣味」からだが、もと毛沢東の主治医が傍近くにあって見たこと聞いたことを赤裸々に書いていて、厚い本だが最後まで飽きずに読んでしまった。毛沢東が女好きで、常に若い女をかしづかせていたという事実が私を飽きさせなかった一因ではあった。

 13億人という人口をもつ国を治めるのがいかに難しいことかも理解できるし、この人が結果的に172万人(1千万人という説もある)に異常な死を強iいたという事実が単に歴史のひとこまではなく、そうした可能性がいまなお存在することを想像させもする。「13億いたら人間に人権などはない」という誰かの話にも納得がいってしまう。

 さらには、5千年の歴史をもつ超大国の政治家というものの、我国のレベルをはるかに超えたスケール、政略、戦略、人間関係、人事などなどをうかがい知るよすがともなった。冷戦時代、毛沢東はこうも言ったという。「アメリカと戦争になり、たとえ原爆を落とされても、3千万人も死ねばすむことで、たいしたことではない」と。

 また、夫が女に目がなく、常に異なる女性を傍に置いていることに妻である江青は初めこそ嫉妬に駆られはしたが、それで夫の悪癖が直るわけでもなく、その鬱憤が文化大革命の過酷さを倍加させたのではないかと、私は想像している。

 おっとり構えている日本がいずれ中国という大人口と、日本をはるかに上回る軍備と、年々砂漠化する土地からの黄砂と、大量の産業廃棄物と、通貨「元」の大幅なアップとに、発展途次に格別の支障がない限り、呆然自失する日が遠くないような気がする。


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One Response to “毛沢東の私生活/李志綏著”

  1. ぐーすか より:

    機会があったら今度読んでみようと思います。毛沢東の私生活。
    丁度毛沢東の話を書いたので、トラバさせてください。

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