R.P.G./宮部みゆき著

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書評:ためいき色のブックレビュー-RPG

  「R.P.G.」  宮部みゆき(1960年生)

  2001年8月25日  集英社より文庫化初版 ¥476+税

 本書の冒頭にいきなり8人もの人物が登場、時系列の逆転をはさんで、さらに4人が新たに登場、警察内部の役割分担に関するこまごまとした説明があって、さらに2人の人物登場と、ここまで僅か23ページで14人もの登場人物が紹介され、私の記憶力ではついていけず、記憶力(私の)への配慮の欠けたストーリー展開に読書を続けることへの意欲を失った。

 これを作者の著す作品の進化と呼ぶのならば、私は今後、この著者の作品を手にすることはギブアップするしかない。

 思えば、1993年に「貨車」に出遭い、1999年に「理由」に出遭って、読書を始めたとたんから物語のなかに引きずりこまれたことが記憶に強い。「模倣犯」も悪くはなかった。前二冊に比べ、表記の作品はエンタテイメント作品としては作者の一人勝手な思い込みが強く、読み手に対する親切心が欠けているように思われる。読み手を引きずりこむより、読み手を弾き飛ばしてしまう物語の始まりになっている。

 私の個人的な判断かも知れないが、本というものは初めの数ページが鍵であり、その部分で読者を一気に引きずり込めるか否かで、作品の価値も人気も決まってしまう。そういう意味では、残念ながら、本作品は失敗作だと、私は思う。


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