相対論的宇宙論/佐藤文隆・松田卓也著

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「相対論的宇宙論」 佐藤文隆、松田卓也共著
講談社ブルーバックス

 さきに紹介した佐藤氏の三作を読了した方で、さらに天文学に関心のある方には本書をお勧めする。ただし、天文学的数式に不慣れだと、その部分は飛ばして読むほかはない。

 本書には多くの世界的な天文学者の名が登場するが、そのどれもが一時代を築き、この世界に名を残した学者、あるいは残しつつある学者といっていいだろう。

 紀元前のアリスタルコス(ギリシャ)が地動説を主唱、時代を超越していたが、アリストテレスがあまりにも有名になったために、その影響で忘却されたのは惜しい限り。その後、コペルニクス、チコ・ブラーユ、ジョルダノ・ブルーノ、ケプラ、ガリレイを経て「万有引力」のニュートンへ、そして、ルヴェリエ、アダムス、ランバート、ライト、カントを経てアインシュタインへ、はたまたハッブルへ。そして、その後ミスナー、クライン、アルベン、ベリンスキー、ハラトニコスリモシュ、シン、ブランス、ディッケ、ホーキング、ペンジアス、ウイルソン、ヒューイッツ、オールト 、サンデージなどなどを生み、物理学の領域が拡大し、ノーベル賞の対象に選択されることも頻発する。
 
 本書の結論はどうやら「アインシュタインの相対論的宇宙論は観測上の精密化があり、2003年時点で、理論に基づくビッグバン宇宙論という基本パラダイムはいまも変わっていない」ということになるらしく、そのことはアインシュタインはいまなお光っていることを示している。

 日本人の宇宙飛行士がスペースシャトルに何度も乗っているが、スペースシャトル(宇宙ステーションも同じだが)の軌道は、地球のもつ大気圏をわずかに超えたところを移動しているに過ぎない。

 地球を覆う大気圏というものがどれほど薄っぺらなものであり、ある意味で脆弱なものかを認識しておきたい。 つまりは、オゾン層の欠落が人類のみならず、地球上のあらゆる生物の絶滅を意味することを。

 さらに、いわせてもらうならば、日本は海外に金をばらまくよりも先に、宇宙への研究、探索にもっと資金を投入すべきだ。アメリカやロシアに任せてよいなどというレベルの問題ではないはず。アメリカは宇宙開発に関しても、常にトップを走り続けたいという傲慢な姿勢を堅持、他国が、とくに影響下にある国が独自に宇宙探査を行おうとすると、必ずいちゃもんをつける。だから、日本が探査を行うときは、例外なく、アメリカの了承を得、同時にアメリカも探査に協力しているという形をとらざるを得ない。

 また、海洋の探査も既にアメリカ、フランスに遅れをとっているが、国土が狭い割合には島国であるために領する海域の広さは抜群で、ある意味では海洋のほうが宇宙より判っていないという状況もあり、深海底を含め、日本らしい技術を、他国に差し出す資金があるのなら、そういうほうに回して欲しい。


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