猫たちの恩返し/優李阿著

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「猫たちの恩返し」 優李阿(ゆりあ)著
KKベストセラーズより2010年8月1日単行本初版 ¥1300+税
帯広告:可愛がったペットはいつもあなたの幸せを祈り、見守っています。

 「まえがき」には、「作者は小さい頃から常人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえるという特殊な能力があり、長じて交通事故に遭い頭蓋骨損傷という瀕死の重傷を負ったのがきっかけとなって特殊能力に磨きがかかり、感情や想念を波動として捉えるアンテナが研ぎ澄まされるようになった」とある。

 ペットを飼った人はペットに死なれると喪失感(ペットロス)に襲われるが、動物の心が読めるサイキックカウンセラーとしての作者はそういう人のためにあの世に行ったペットを呼び出し、ペットからのメッセージを伝えることで慰めるという介在役を引き受けるという。同じようなことをする人がTVで紹介されていたが、本書の作者とは別人。

 「猫は恩を返すために時空を飛び越えて霊界から駆けつけてくれる」し、「先に死んだ猫は飼い主を霊界で待ち、迎えてくれる」らしい。

 こういう書を抵抗なく読める人には悪くない内容だろうし、慰撫されもするだろうが、私は体質的に「勘弁してくれ」と言いたくなり、まったく受けつけられない。読書を始める前、タイトルからは猫が生きている間に何か慰めになる動きをしたのかと想像していたくらいだ。

 「動物たちも人間と同様に輪廻転生をくりかえし、それぞれが使命と役割をもって、この世に生を受けている」との言葉には、「カブトムシも?、蟻も?、コバエも?、細菌も?、カビも?」と尋ねたくなるし、自然のままに生きているあらゆる動物と、殺し合いをくりかえす人類を同一線上に並べるのは動物に対して失礼ではないかとも思ってしまう。作者も「嘘偽りのない動物」というが、人類はまぎれもなく「嘘偽りのかたまり」である。

 作者紹介に、「農学博士、日本の黄砂とモンゴルの砂塵嵐の研究家、気象予報士」とあり、こうした職業と本書の内容とが矛盾を孕んでいるような気がして仕方がない。とくに、「日本の黄砂」という言葉が解らない。黄砂はもともと中国から舞い上がっている。日本には中国から飛んできた黄砂しかありはしない。

 ペットを可愛がるあまり、ペットと平気でキスをする女性がTVで紹介されるが、変な病気をもらうことにならないよう祈るばかりだ。


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