空色ヒッチハイカー/橋本紡著

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空色ヒッチハイカー

「空色ヒッチハイカー」 橋本紡著
帯広告:18歳の夏休み、偽の免許証を携えて、僕は車で旅に出た。ひと夏の冒険、ポップでクールな青春小説
2006年12月  新潮社より単行本初版
2009年8月 新潮社より文庫化初版 ¥514+税

 高校最後の夏休みを使い、中古のガタのきたキャデラックを利用、無免許でありながら、兄のライセンスを携帯し、神奈川から出発して、果ては九州の唐津までの長旅をする。その間、ヒッチハイクを希望するそれぞれに特異なキャラクターをもつ人物に遭遇するが、出発点の神奈川で拾った女性が最後まで一緒で、この女性が全編を通し、本書の軸になっている。

 旅の途中で語られる兄についての挿話は、兄はあたかも既にこの世に不在であるかのような錯覚を読者に与えながら、実は、旅の最終地点の唐津で待っているという設定は本書で唯一サスペンス風の構成になっているが、嫌味がない。

 また、ヒッチハイクで同乗するどの人物からも何かを学ぶという人生訓のような形式はなく、旅の途中で人生の深奥を教えよう、伝えようといった高飛車な姿勢も一貫して皆無であり、その点も文章は軽いタッチながら本作品の爽やかさを助長している。


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