湖畔/ジョン・マクガハン著

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湖畔

「湖畔」 ジョン・マクガハン(John McGahern/1934年生/アイルランド人/現代アイルランドを代表する作家の一人)著
原題:That they may face the rising sun
帯広告:円熟のきわみというべきマクガハン晩年の名作
訳者:東川正彦
2010年1月10日 図書刊行会より単行本初版 ¥2500+税

 世の中に、またどこの国にでも、幾らでも存在するオジさん、オバさんの、どうでもいいような世間話が延々と続く印象が消えぬまま150ページまで読み進めたが、先を読みたくなるような期待感は依然として沸いてこず、本書が描くアイルランド人が平均的なアイルランド人なのか、またその生活も平均的なものなのかについても不分明のまま苛々を誘う。

 ぐだぐだと継続する会話にどのような真意があるのか理解できないまま読み継ぐことには辛いものがある。原作が悪いのか、翻訳に難があるのかは、私には判らない。ストーリーに流れが感じられず、自然に引っ張られて読み進むといういつもの読書が許されなかった。どこを読んでも同じ印象があり、どこから読んでも大した違いもないように思われ、どこまで読んでもオジンとオバンがぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅと愚痴をこぼし、世間話に現(うつつ)を抜かしているだけという印象、読むだけ時間を無駄にしているように思われた。

 訳者はその「あとがき」に、「たっぷりした豊かな物語を味わって欲しい」と積極的に賞賛しているが、私にはどこが「たっぷりして」どこが「豊か」なのか、全く理解できない。「名作」との帯広告のコマーシャルが真実だとしたら、私には名作を鑑定する力量がないということになる。

 今月に書評した「青い野を歩く」も同じアイリッシュの作品だが、両作品のあいだにあるあまりにも大きなギャップにただただ唖然。

 正直いって、これほど退屈きわまりない小説に出遭ったのは生まれて初めての経験、よっぽど書評も感想も披瀝するのはやめようかとも思ったが、これまで通り、良くも悪くも、読んだ本をすっぽかすことはすまいと心に誓っているので、あえて感じたことをありのままに披露させていただいた。


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