ダ・ヴィンチ・レガシー/ルイス・バーデュー著

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「ダ・ヴィンチ・レガシー」 ルイス・パーデュー(アメリカ人)著
集英社文庫 2005年2月文庫初版  中村有希訳
原題:The Davinci Legacy
1983年アメリカで発表 2004年改稿、再出版

 

 本書は感銘を受けたり、感動したり、学んだりする、そういう対象の内容のものではない。あくまで、活劇ドラマを見るように、物語の展開を愉しむためのもので、映画でいえば「ダイ・ハード」を見るような気分。

 「本書の半分は真実である」と断ってから物語が始まるという本に出遭ったのは初めてで、割り引いて想像すれば、真実は3割にも満たず、むしろ「本書はフィクションである」と明言しているように思われ、最初の断り書きが興冷ましという逆効果をもってしまっている。

 予測した通り、物語はいかにもアメリカ人の好きな、荒唐無稽の連続で、2003年にアメリカで他の作家が書いた「ダ・ヴィンチ・コード」がベストセラーになったことを受けて再出版されたか、あるいは映画化を狙ってのものか、そういう憶測が脳裡に浮かだ。

 「裏切り者の身体から少しずつ肉をそぎ、そいだ肉を焼き、その肉を裏切り者に食わせ、出血死するまで続ける。これが修道会の拷問法で、ヴァチカンが考案したものだ」とか、「肥満した大企業は自由競争に蹴つまづいて、脂肪たっぷりの尻を地につけてしまうと、自力では立ち上がれない」とか、「ロースト肉サイズの手の平」とか、表現がいかにも自信にあふれたアメリカ人的で、笑いが止まらなくなる。米国の巨大資本に支えられた自動車産業、GM、フォード、クライスラーなどが今や日本車に押され、売り上げは年々減少の一途だとというのに。

 暇つぶしに読むというなら、これ以上の書籍はない。

 著者は企業経営者であり、ウォール・ストリート・ジャーナルにコラムを書き、UCLAでジャーナリズムを教え、20冊の著作があるという。確かに、文章は下手ではないが、アメリカを代表する圧倒的なキャラクターという印象が強く、こういう人物がアメリカ社会をリードしている一人なのだなと妙な感心をしつつも、危うさをも感じた。


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