ザ・シークレット/ロンダ・バーン著

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「ザ・シークレット」  ロンダ・バーン(オーストラリア人らしい)著
原題:The Secret

 訳者:山川紘矢、山川亜希子、差の美代子

 

 「宇宙と人間とは一体のもの、人間が思考し、欲し、願うことは、宇宙に放射することによって現実のもとなり、これを『引き寄せの法則』といい、人間自身が磁石であり、そこには周波数があって、思考は祈念が強ければ強いほど意識下に浸透し、シグナルとなって宇宙に放射され、現実化が早まる」

 「引き寄せの法則は引力の法則と同じように、誰にでも平等に働く。何事も思考しない限り、意識にのぼることもなく、感情表現に至らず、したがって何事も起こらない」

 以上のような話がいきなり出てきて、プラトン、シェイクスピア、ニュートン、エディソン、ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、ガリレオらの名を挙げ、例外なく彼らの芸術も発見も発明も製造も、すべて思考から出発したものであり、思考がなければ何事も顕在化しなかったと続くと、これはもう「神」を「宇宙」に変えた新興宗教以外のなにものでもないことが判る。しかも、The SecretとのタイトルでDVDも発売されており、本書の狙いはDVD販売の増加を狙ったものであることも透けて見える。

 「全世界で860万部が売れ、ベストセラーNO・1の位置を走り続けている」との副題に目が張り付いてしまい、つい手を出したことをこれほど後悔したことはない。

 史上、偉業をなしとげた人たちの成功が思考からスタートしたことは当たり前であり、裏舞台には思考から出発しながら膨大な数の失敗者、敗北者が存在する。祈ることで物事が実現するほど、世の中も社会も人生も甘くないし、単純でもない。

 はっきり言って、本書は書評の対象にすらならない。ただ、人間という生物が物欲にまみれた生き物であるという点であり、だからこそ、その弱点を巧みに衝く詐欺的著作が後を絶たない。


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