これが佐藤愛子だ(1)/佐藤愛子著

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これが佐藤愛子だ

「これが佐藤愛子だ(1)」 佐藤愛子著
集英社文庫 2007年1月初版

 本書は1から8まであって、昭和から平成に移る世情を痛烈に批判、非難するという内容のエッセイ。

 作者は1923年生まれで、私は1の途中までしか目を通していないが、まるで祖母に叱責、叱咤されている気分に陥り、読む気力が失せてしまった。

 言っていることにちょっとした違和感があったのは、終戦直後の女たちの生態について、アメリカ進駐軍の兵士の腕にぶら下がって歩いていた、いわゆる「パンパン」についてだが、なにもアメリカ人の男性が優しかったからだけではなく、食糧難の時代、二グロイド系の兵士ですら缶詰やら何やらやたらとくれたことで、真っ黒な顔をした兵士ですらが光り輝いて見えたということではないか。兵士らはそれが日本人をいかに喜ばせるかを知っており、倉庫から盗んできただけだったと私は思う。

 食料に難儀しない相手と、相手の国を憧憬し、果ては結婚までしてアメリカに渡ってみたら、相手の実家はスラム街のビルのなかという実態に恐れをなし、誤解していたことを知り、離婚したうえで、子共を連れ、自分はパートタイムの仕事をして子共を養い育てたという史実。私は仕事でアメリカの都市から都市へとセールスして歩いていた時代、デトロイトやシカゴで明らかに「戦争花嫁」と思われる方々をしばしば目にした。彼女らは親の反対を押し切ってアメリカに来た上、日本に連れ帰ったら必ずいじめに遭う黒人とのハーフの子供のためにも、帰るに帰れなかったのだろうと想像した。

 いずれにせよ、私の祖母がこの作者のような辛辣な警句を吐いたのを聞いたこともなく、まとまった文章を書いたという話も聞いたことがない。恐るべきおばあさんというイメージだが、こうした作品を8巻まで読む心構えは全くなく、読書の継続を放棄するに至った。


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