東京娼女(とうきょうしょうじょ)/藤原亜姫著

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tokyo-syoujo

「東京娼女」 藤原亜姫(ふじわらあき)著
2010年7月20日 河出書房新社より単行本初版
¥1600+税

 こんなに面白い小説に出遭えたのは幸運以外のなにものでもないと思う。

 作家の新堂冬樹も岩井志麻子も帯広告にべたぼめの記事を載せている。

 ただ、これだけ痛快なプロセスを踏んだ結末が、岩井志麻子が言うような「こんなカッコいい破滅のものがたりであったとは・・・・・・」と褒めるだけで終わるのではなにか物足りなく思う。

 「小説なんだから荒唐無稽でいい」と(岩井が言ってるわけではないが)いってしまっては、小説の質的力強さが失われててしまうのではと思うし、忌憚なく言えば、結末にさらなる一考を加えていたら、もっとすごい作品に昇華したのではなかと、心のうちで、やや残念に思っていることを伝えておく。いうまでもないと思うが、私はハッピー・エンドを願っているわけではない。

 私がこういうことを言うには理由がある。本作品のなかで主人公の会話があたかも剣の切っ先のように相手にぶっささり、翻弄する、そういう場面はこの作品が始まってすぐのところから三の一くらいまでを占め、誰もがこの部分だけは一気に読まされただろうと思う。この読者を酔わせる言葉の選択はもちろん、会話体としての体裁をまともに評価する人にとって、結末はあまりに読者をないがしろにしていると思われて仕方がないのだ。


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