空中ブランコ/奥田英朗著

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空中ブランコ

「空中ブランコ」  奥田英朗(1959年生)著
文春文庫  2008年1月文庫化初版
2004年 単行本

 直木賞受賞作との帯広告を見て、むかしなら避けていたのに、衝動買いした。

 5つの短編が収められ、どれにも同じ精神科の医師と看護婦が登場するが、二人はあくまで脇役で、それぞれの短編には別々の主人公が存在する。そうした構成の妙が評価されての直木賞なのかどうかは判断できないが、それ以外にこれといって心打たれる内容ではない。

 「人間の手は生物学の奇跡」という言葉だけが脳裡に残っただけで、どの短編も漫画を読んでいる印象で、深みといったものとは無縁。逆説的に言えば、内容が軽いだけに、あっという間に気楽に読め、癒される感じはある。

 本書の一短編に登場する小説家の言葉にあるように、書物というものは内容の深みなどは関係なく、たとえ駄作でも、出版社は売れるものを印刷し、販売する。傑作だからといって、必ず売れるとは限らない。出版社もチャリティーでやっている仕事ではない以上、そういう姿勢は理解できる。

 それにしても、こんな小説が直木賞受賞かと、あらためて唖然とはした。


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