統一コリアのチャンピオン/高賛侑著

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統一コリアのチャンピオン

「統一コリアのチャンピオン」
高賛侑(コウ・チャニュウ)著
副題:ボクサー徳山昌守の闘い
集英社新書  2001年9月初版

 本書は在日朝鮮人ボクサー、徳山昌守が出自を明かし、当時世界チャンピオンだった韓国人ボクサーと日本のリングで闘い、ベルトを勝ち取った話と、事前に課せられたリターンマッチを韓国のリングで闘い、防衛に成功した話を中心に、在日が苦労してきた過去の歴史をも挿入しつつ、徳山が辿った軌跡を描いたノンフィクション。

 戦後多くの在日韓国人、朝鮮人が実名を隠し、日本名を使って生活していたなかにあって、堂々と出自を明かしたばかりか、リングで使うトランクスには「祖国は一つ」とか「One Korea」とか明記した心意気が逆に功を奏して多くのフアンをもった背景。「歌手ならば実名で国籍を隠さずに舞台に上がれたことと比較し、ボクサーが実名を秘匿しなければいけない現実に反発したのであろう。(野球も例外ではなかった)。

 本書によれば、1994年の一年間で、在日の朝鮮の学校生徒が暴言、暴行、傷害を日本人から受けた事件は全国で160件余に達したという。

 「太陽にほえろ」で名をなした松田優作は実は日本人を父にもち、在日の韓国女性を母にもつハーフだったが、「太陽にほえろ」への出演が決まると、日本への帰化を決めたが、彼のルーツが公表されたのは彼の死後10年が経過してからだったという話は初耳だった。

 日本のスポーツ界に在日韓国人、朝鮮人が(金田にせよ、張本にせよ)、名を日本名にして球界に入り、優秀な成績を挙げてきたことは周知のことだが、企業が在日の就職を拒否してきた事実から、あえてスポーツ界を選ばざるを得なかった背景はよく理解できる。

 NHKが放映した「冬のソナタ」の功績というべきか、以来、韓流ブームがはじまり、「実は娘の夫は」「息子の嫁は」という話ができるようになったことは喜ばしいことである。私の姪も韓国の男性と結婚し、現在も、韓国で暮らしている。

 名を隠さねばならなかったのは、実は、在日韓国人、朝鮮人ばかりではなく、沖縄の人間にも同じようなことが常態化していた時代が過去にある。そうした悲惨が消えたのは安室奈美恵の功績であろう。以来、沖縄から続々とタレントが輩出している。


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