青い野を歩く/クレア・キーガン著

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あおいのをあるく

「青い野を歩く」 クレア・キーガン(Claire Keegan/1968年生/アイルランド人女性)著
原題:Walk in the blue fields
帯広告:哀愁とユーモアに満ちた「アイリッシュ・バラッド」の味わい。
訳者:岩本正恵
2009年11月25日 白水社より単行本初版 ¥2200+税

 アイリッシュの書いた作品にはこれまでにも何度か出遭っているが、アイリッシュ特有の仰々しさ、騒がしさがないばかりか、白人の作品にしばしば見られる陰険さ、執拗さ、粘着性、過剰な言葉などとも無縁の著作で、文学的な香りが高い。

 本書には8編の短編が収められているが、どの作品にも共通するのは、隣国のイギリスに長期にわたっていじめられた歴史がこのような感性を育てたのかと思われるほど、繊細な表現に充ちていること。

 ただ、繊細であるがために、インパクトが弱いという欠点は否定できないが、この作品を最も理解し共感するのは日本人ではないかと思う。ことに空間に張り詰める情念、心情を淡彩の筆で描いたような表現は読む者の心を打たずにはおかない。


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