人類はなぜUFOと遭遇するのか/カーティス・ピープルス著

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人類はなぜUFOに遭遇するのか

「人類はなぜUFOと遭遇するのか」
原題「Watch The Skies!]  
カーティス・ピーブルス(Curtis Peebles)著
皆神龍太郎訳  文春文庫

 UFO とは Unidentified flying object の略で、日本語では「未確認飛行物体」というが、そもそもこの言葉が放つ妙ちきりんな響きに大抵の人は胸をかき乱される。

 人間は基本的に好奇心の強い動物だから、ロマンの香り高い「UFO」という外来種(アメリカがもともとの震源地)に心を揺さぶられ瞠目する。もし存在したらとの思惑に、歓喜する人、恐怖する人、絶望する人、顔をそむける人、軽蔑する人」、いろいろだろうが、いずれの境地からもUFOは無視できない。無視してしまうにはあまりに魅力的なのだ。

 そうした人間心理が噂を呼び、噂が謎に変貌し、伝聞を、はては著作を生む。その過程で尾ひれがつき、誇張が生まれ、拡大もし、理解不能なものをすべてをUFOのせいにしはじめる。「存在して欲しい」願望が「存在するかも知れない」という期待に変わり、ついには「絶対に存在する」という信念にまで昇華する。なかには、フェイク(虚偽)の写真を、ちょうどネス湖の恐竜のように撮影して、UFOに見せかけるという詐欺/悪辣も出没する。

 戦争の絶えない地球上では軍事国家にとって由々しき問題とも化す。この問題をどう扱うべきかに当惑、腐心するのは当然の帰結でもある。

 「心霊写真」というのがあり、しばしばTVで映像を流す。変わった写真があると、勝手に形まで与えて、これが心霊写真だと、視聴者の目を釘づけにする。

 本書はUFOを扱った書物としては最も真面目で真摯な労作。大雑把にいえば、人間心理のおもしろさを、幼さをUFOを軸に語った書物といってもいい。

 日本のTVではしばしばUFOものを放映するけれども、好きな人が多いことには驚愕の一語。人間の幼稚さを著している。


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