石ひとすじ/左野勝司著

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「石ひとすじ」 左野勝司(1943年生/石工/飛鳥建設代表取締役)著
副題:歴史の石を動かす
2009年12月20日 学生社より単行本初版 ¥1900+税

 文章は明らかに素人の域を出ていないものの、余人をもっては書けない内容であり、巨石を対象とした石工としての立場から、なしとげた仕事に関し、学ぶことが少なくない。

 「日本の寺院建設に石は似合わないが、日本にも般若寺の十三重の石塔、法華寺の東隣にある海龍王寺では国宝の西金堂(さいこんどう)の基壇が凝灰石を使っている。日本の場合は凝灰石が使われることが多く、これが脆く壊れやすいため、修復や復元には大理石などに比べ手間がかかる」。

 「石舞台古墳(明日香の東南にある巨大石像古墳)は70トン余の天井石で、日本ではこの時代では最初で最後の巨石文化」

 「巨石を動かすには木で作ったソリを使うが、これを修羅という。修羅は古墳時代のものが大阪の寺で発掘されたことがあり、大きなもので長さ8M以上、小さなもので3M弱」

(修羅という言葉の語源と関係があるのかも知れない)

 飛鳥にある「須弥山石」の三段になっているはずの真ん中の石がないため、これを復元。

 京都の「出水(いずみ)の酒船石」の復元。

 1千3百年の歴史をもつ高松塚古墳の解体にあわせ、飛鳥美人を描いた石壁(凝灰石)の取り出しにチャレンジ。

 「イースター島では元知事から『この島にクレーンがあれば』という要望から、協力することが具体化した。島は北海道の利尻島とほぼ同じサイズ、現地にはサンチャゴのチリ大学、アメリカのオレゴン大学、ポーランドの学者が訪れ計画を練った」。

 「モアイ像の表面は厚さ5センチくらいの塩分で固まり、内部がボテボテで、空洞状態。工事には慎重が求められ、7、8本を立てるまでで4年が経過し、足かけ6年の仕事でトータル15体のモアイ像を修復した」。

 「外国では、アンコールワットの遺跡のなかにある『西トップ寺院』の復元に着手。さらには、イースター島にかかわったことで、太平洋最大の遺跡「アフ・トンガリキ」の修復にかかわることにもなった」。

 先般、書評した「イースター島の謎」では不明だった日本の協力内容が本書によって明らかにされ、新たな知見となった。


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