きみはいい子/中脇初枝著

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きみはいい子」  中脇初枝(1974年生)著
2012年5月20日 ポプラ社より初版 単行本1400+税

 子供への虐待、いじめ、親や兄弟の常識のなさ、教師間のわだかまり、批判、教師へのしっぺ返し、よけいな言動などなど、すべて原因は少子化にある。少子化が日本人、特に若人や子供らから社会性を奪っている。社会性がまず育まれる家庭に少子化がある以上、社会性が育つわけがない。むろん、大家族が崩壊してしまい、嫁が相手婿の家に入る習慣の欠落にも原因がないとは言えない。

 といって、この本が少子化を書いた本というわけではない。虐待が主である。

 本書は現代病とでもいうべきそういうもろもろを、それとははっきり出さず、物語としてそれぞれの問題を提起、目次を変え、章を変えて、優しく書きつつ、読者の同意、同感を誘っている。

 帯広告には、編集者が「怖かったのも、触れたかったのも、おかあさんの手だった」といい、作家の宮下奈都は、「読みながら、震えた。ものすごいことが書かれている。震え、泣き、それでも確かな希望が胸に灯る。人間を信じよう、という気持ちになる」との発言を残している。

 確かに、胸をしめつけてくる内容のものもある。涙を誘う内容のものもある。ただ、読みきるのに時間がかかった。

 自らの子供を虐待する女性は、自分たちが(20代という年齢)少子化時代に生まれているし、教師にも、他の母親にも環境的な条件にはそれほどの差はない。


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