赤い花なら曼珠沙華

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書評:ためいき色のブックレビュー-彼岸

  「赤い花なら曼珠沙華」

 子供の頃、この花に魅せられた。

 こんな形をした花はほかの花とは比較を絶しているし、江戸期の女性が髪に挿した簪(かんざし)をも凌ぐ美しさだと思った。

 子供の頃、この花を一本折って、自宅に持ち帰ったところ、母親に「ダメだよ、そんな花を取ってきちゃ。彼岸花っていってね、それ毒あるよ」と言われ、驚きながら棄てに行った。

 母親はああ言っていたけど、叔父は「赤い花なら曼珠沙華、オランダ屋敷に雨が降る~」というような歌を口にしていたことをしばしば思い出した。人によっては、「あの華を持ち帰ると、家が火事になる」とまで言ったとは、これも母親から聞いたが、花の色が紅蓮(ぐれん)の炎を想像させるからだろう。

 後に知ったことだが、この華には「リコリン」という名の毒が含まれているということだった。

 5月になると、皇居を囲む西側斜面の草地に赤い曼珠沙華がぽつんぽつんと咲き、目を楽しませてくれたものだ。

 最近になって知ったことは、この華には白もあり、交雑の結果誕生したらしい。

 また、曼珠沙華の語源はインドのサンスクリット語らしく、「阿漕なことはするな」というときの「阿漕(あこぎ)」と同じサンスクリット語だと聞いた。サンスクリット語といえば、賭け事で、「のるかそるかの大勝負」というときの、「ノルカ」は「地獄」であり、「ソルカ」は元々は「ソルガ」で、「天国」を意味する言葉であり、いずれもインドネシアやマレーシアでも使われており、「Norka」「Sorga」で通用する。

 話を戻すけれども、私は今でも曼珠沙華には格別の魅力を感じているし、目にすればなんとなく胸にズキンとしたものを感ずる。


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