最近の中国の動きは「文明の自殺」を裏書するもの

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 最近の中国の動きは先月(2009年6月)に書評した「文明の自殺」を裏書するものである。

 ウィグル族の怒りは単に経済格差だけにとどまらない。

 中国共産党のやり口は、チベット自治区でかつて胡錦濤が若いときに自らやったのと同じで、元々人口の少ない新疆ウィグル自治区に多くの漢族を強制移住させ、あらゆる商売の芽を奪ってしまうだけでなく、ウィグル族が大事にしているものを破壊したり、仲の良い隣国で、同じウィグル族が多く住んでいるカザフスタンとの関係に不快感を露わにし、学校では強制的に中国語を学ばせ、ウィグル族の文化を崩壊させている。

 そのうえ、幸か不幸か、この自治区から石油が産出することが最近になって判明、車の普及に力を入れている共産党としては、石油は必須のアイテム、カーボンを大気中にどのくらい撒き散らそうが知ったことではないという態度は京都議定書に見向きもしないことと同じ線上にある。先進国、後進国の立場の違いを強調する気持ちは理解できるが、地球温暖化の問題はすでに「待ったなしの状態」にあり、これから世界中で何をどうしようと間にあわない可能性もある。

 すでに多くの経済学者が「人類の目的は経済成長だけにあるわけではない」と言明しており、その言葉はアメリカ発の「人間の欲望を自制できない金儲け主義」から出発していることを、我々はすでに知っている。

 仄聞するところによれば、中国の人口は15億(公表は13億)に迫ろうとしている。人海戦術を用いられては、どこの民族も抗しがたい。15億が西洋式トイレを使い、車を走らせるようになったら、そのことによる経済的波及効果はあるにせよ、地球環境の悪化がこれまでの速度をはるかに上回る速度で進むであろうことも容易に推察できる。

 日本人がかつて万里の長城に沿って何十万本という樹木を植林したが、中国西部地域からの砂漠化はとどまることなく進み、黄砂の飛ぶ量は年を追って増加している。

 地球という太陽系の一惑星はデリケートなバランスのなかで存在を維持し、生態系を継続してきた天体であり、それが人類を含めたあらゆる生物の母体である。人類が今やその母体を毀損しかねない事態を招来していることは世界の常識、民族の違いや経済成長度合いで争いを続けている場合ではない。

 軍事力は世界第二位、GDPは日本を抜いて世界第二位になりつつある大国(といっても人口で割ったら大した数字ではない)になったのなら、大国らしい配慮、姿勢、外交が求められる。とはいえ、15億の民を治めた治世者は史上に例がないというのも事実で、治世者が常に深刻な状況にあることに他国の理解が及んでいないということも否めない。

 ただ、はっきりしていること、今回の金融恐慌から学んだことは、人類の目的は経済成長や行き過ぎた成果主義だけにあるわけではなく、あくまで社会全体の安定を実現することに尽きている。

 我々は、他民族に国の枠組みを押しつけ、砂漠化を拡大させ、産業廃棄物を垂れ流しにする中国と、専制国家であり核を保有する北朝鮮が近隣に存在することを忘れてはいけない。このような国が近くに存在することは、それ自体がリスクであり、いつでもカオスに変化し得ることを。


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