不法滞在と強制送還

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不法滞在と強制送還

 この問題には、日本社会そのものが置かれている実情と、日本の法律と、日本人だけでは将来の日本社会が成り立たなくなる可能性などなど、即断即決できない問題が含まれている。

 確かに、当事者の両親は不法滞在者であり、しかも長年にわたっている。本来なら、責められるべきは入国管理を管轄する外務省であり、不法滞在者を長年にわたり放置してきた責任を問われてしかるべきところで、今になって過酷な「強制送還」を云々する資格があるのだろうかという疑問が沸く。

 ただ、これを許しては、今後に禍根を残す可能性があり、それを懼れる外務省職員の思惑も理解できるが、そもそも、この国には、こうした問題が発生したときの確たる対応があやふやなまま今日に至っていて、だからこそ、今回のフィリピンの一家族のみならず、前年はタイの家族の問題も浮上した。

 そのうえ、ほとんど同じ条件の外国人家族に、180度異なる裁定を示してもいる。

 従来、日本は西欧の殖民のあり方から、発展途上国の労働者が欧米で子供を生んでしまい、出生地主義に依存して、国籍を得たケースが多発、こうした状況を認識していた日本外務省が発展途上国というより、かつて日本から移民した南米、中米の日系の子孫を積極的に労働者として呼び寄せた経緯がある。

 日本に若手の労働者があふれかえっている状態なら徹底的に発展途上国からの不法労働者はもとより、国籍を狙う途上国の人間の入国を厳しく管理すべき筋合いのものだが、明らかなのは、将来のわが国には「少子化」の深化が目に見えていること。

 だからこそ、ことに老人介護の問題解決の一貫として、インドネシア、フィリピンから若手の女性を積極的に入国させ、日本語を学ばせ、介護士資格取得を応援し、将来に予測できるわが国の老人介護の過酷に対応しようとするシステムの構築を図ったが、日本語を学ばせる以上、それなりの時間と努力が必要ではある。

 今回の問題は、TVで少女を見て、可哀想だとか、憐憫を口にするのではなく、先を読んだ洞察を踏まえたうえで、日本の将来を配慮、国民の納得いく解決法を模索すべきだろう。難しい問題ではあるが。


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