アメリカ体験記「ラスヴェガスの変貌」

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ラスヴェガスを代表するホテルの一つ

 低所得者向けのサププライムローンが米国ばかりか世界の金融市場を震撼とさせているが、表面に出てきていないダメージはまだかなり存在すると私はみている。

 ラスヴェガスはネバダ州にあるが、誰もが知っているように、荒涼たる砂漠と瓦礫に覆われた土地で、かつて、米政府はこの土地だけを指定し、ギャンブルの街にすることを許可したが、それに応じたのがニューヨークマフィアの一人、ベンジャミン・シーゲル・バグジーという男で、ホテルを建設、ロビーは全面的にカジノの場とした。すると、ハワード・ヒューズ、スティーブ・ウィンなどが次から次へとホテルを建設し、一大ギャンブル街に発展、なかにはマフィアでない金融業者や不動産業者もいた。マフィアはカジノで儲け、新たにラスヴェガスでビジネスを行うホテルには「カジノ権」を売って、さらに儲けた。

 ところが、2000年を迎える前には、米国政府はネバダ州と協力、ラスヴェガスからマフィアをすべて追い出し、カジノの内部を歩きまわって客を探しては売春を行っていた女たちも追い出し、ラスヴェガスを家族が子供連れで来れる街へと変貌させ、子供も楽しめる街にし、街全体をすっかり清潔感あふれる雰囲気で満たした。

 そのため、ラスヴェガスに居住を希望する人間が急激に増え、フロリダ、キャリフォルニアと同様、荒地が造成対象となり、次々と、新しい家の建築が始まった。ラスヴェガスが他の地区と違っていたのは、いずれかといえば、低所得者よりも、ある程度資産のある人を対象とした物件が多かったことだが、金融業者、不動産業者の低迷と時を同じくして、入居する希望者が激減し、それまで高値で販売されていた一戸建て、プールつきの家までもが空室だらけとなり、街のあちこちには「For Sale](セール)と書かれた家が並ぶという風景が頻繁に目に映るようになった。

 私の友人は最高値のときに、持ち家をいったん売ってしまい、しばらくして価格が落ちたときにあらためて同じサイズの家を購入したのだが、その家の価格ですら現在では買値を下回っている。

 ラスヴェガスからマフィアや売春婦が排除されたことで、ここに住宅が増え、居住する人が増えていく過程を見てきた私には信じられない風景となっている。

 9.11以降、それまで多くのダイレクト・フライトが日本からもラスヴェガス向けにあったが、現在ではどの航空会社もダイレクト・フライトの運行をやめてしまい、日本から同地を訪れたい人にとっては不便このうえない状況になっているが、テロ以降、日本からの観光客が激減したことに原因がある。

 確かに、ワールドセンターでのテロ直後には、次はラスヴェガスか、デズニーランドかと憶測された時期もあったが、テロが狙いそうな土地ほど、軍をはじめ、CIAやFBIによって守られていることは事実である。

 ただ、ラスヴェガスが冷えきって閑古鳥が鳴いているかというと、そういう事態にはなっていず、国内の観光客が飛行機を使い、車を使って、やって来、街は依然として結構混んでいることには訪問するたびに驚く。

 とはいえ、カジノそのものの上がりは家族連れが増えたため、大金を賭ける人は減り、現在では、トータルでマカオに負けている。


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