アメリカ体験記「サンフランシスコのステーキハウス」

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サンフランシスコ市街

 いつだったか確かには覚えていないが、サンフランシスコ支店勤務の支店長、Hさんに同行したステーキハウスには驚いた。

 レストランに入るなり、まず、ステーキを注文するという方式だった。しかも、シェフがどでかい肉切り包丁を持ち、「フィレか、リブか、サローインか、それともテンダーロインか」と訊く。「フィレがいい」と答えると、フィレ肉をまな板の上に載せ、「どうだ、これくらいか?」と肉の上に包丁の刃を持っていって、食べる量を決めろと言う。「あぁ、そのあたりだ」と応ずるなり、「焼き具合は?で、あんたのイニシャルは?」と訊く。

 そのあと、ウェイターが案内するテーブルにすわって待っていると、注文したフィレの上に私のイニシャル入りの小さな旗が突き刺され、ニンジンとバターが添えられ、銀紙に包まれたジャガイモがバターと一緒に同じプレートに載っている。

 これが美味だった。つい最近、Hさんの下で働いたことのあるT君が我が家を訪れ、そのレストランのことを話題にすると、T君もよく覚えていて、「あんなタイプのレストランはアメリカでも珍しいよね」と同意したくらいだ。

 「何グラムですか?」などと訊かず、包丁の刃を肉に向けて、「このあたりか?」と客に尋ねる、その方式がいかにも豪快で、アメリカ人らしいアイディア、忘れられない記憶となった。

(上の写真はサンフランシスコ市街)


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